すきっぷしよう
学研のおはなしえほん
みつばちまーやのぼうけん
1971年4月1日発行
収録
「すきっぷしよう」
絵 園房江
詩 田中正子
この詩は子供達が野原、原っぱでリズム良くスキップをする様を表現している詩です。
そして、絵を描いた方も子供たちを生き生きと描いております。
しかし、子供ながらに若干ひねていた私はこの詩に納得がいきませんでした。
スキップの何が楽しいんだ !
ただ踊り狂っている少年少女たちよ。
どうしたんだ。
呪いでもかけられたのか?
女の子にいたってはパンチラも辞さずですよ。
絵自体は水彩を使った良質な絵なのですが・・・。
私は嫌いです。
何故なら、私はスキップが出来ないから。
火星のプリンセス
(火星シリーズ1)
著者/エドガー・ライズ・バローズ
訳者/小西宏
挿画/武部本一郎
1965年10月8日初版
1977年8月12日38版
前回”みつばちまーやのぼうけん”に続き「武部本一郎」画伯のお話をさせていただきます。
幼児のころその”学研のおはなしえほん”シリーズが大好きで読んでいたのですが、多分それほど武部画伯の絵を意識する事は無かったと思われます。
毎回、色々なテクニックで描かれる絵本に対して、わくわくしながら読んでいたとしても、特定の画家に感銘を受ける事はありませんでした。
真の意味で武部画伯の絵に震え上がったのは後も後。
おそらく中学二年生の頃だと思います。
その年齢の少年というものは、まさに思春期真っ盛り。
女の子の事が気になって気になって、どんなモノでもどんな言葉でもエロに聞こえる。
それは、戦国時代が終わり、関東に徳川家康が幕府を開いた、
“エロ時代”が始まった年でもありました。
お金なんて無い頃ですから、本が読みたければ図書館に行くしかありませんでした。
そうして、図書館通いがはじまりました。
家から自転車で30分。
(スーパーカーライト付き5段変速自転車)
仮名[D図書館]とします。
そのD図書館のラインナップも中々のものでした。
その中から見つけた本それが
「火星のプリンセス」
その表紙、デジャー・ソリスの色気たるや・・・。
とにかく借りました。
いわゆる”ジャケ借り”です。
本の内容なんてどうでもいいのです。
とにかく挿絵を見まくりました。
こうして、武部本一郎画伯の名を覚え、D図書館の中を探し回る事となりました。
後年、物置から、学研のおはなしえほんシリーズを引っ張り出した時に、
「ああ、この本は武部画伯が描いていたんだ。」
と初めて気づき、自分の目のフシアナぶりに落胆した覚えがあります。
本編のE.R.バローズの書いた内容はここでは多く語りませんが・・・。
とにかく面白い。
ワクワク、ハラハラ、一級品の冒険小説。
火星シリーズ全11巻最後まで全力で楽しめる。
■
学研のおはなしえほん
みつばちまーやのぼうけん
1971年4月1日発行
今回は、どこにも作者、画家の表記がありません。
なのでここからは想像で書きます。
原作はドイツの
ワルデマル・ボンゼルス
と言う事で本来は、ヨーロッパ、ドイツに住む養蜂ミツバチが主役だったのでしょう。
(西洋みつばち)
なので正確に絵を描くには、資料をとりよせ、その地域の草花、昆虫を調べて描くのがスジなのでしょうが。
昭和の幼児にそこまでやってやる必要もないので、あっさり日本在来の昆虫、草花に変わっております。
ドイツにナナホシテントウ虫がいるかどうか知りません。
さて、”おでかけまーや”は、おしゃれです。
ピンクのスカーフを首に巻き、赤いブーツを履いて、水色のバケツを小脇にちょっとギンブラな感じです。
キャラクター化されていない妙にリアルなミツバチなのに・・・。
他の昆虫はリアルなままです。
小道具は用意されておりません。
この画家の昆虫の描写力は並ではありません。
ギンヤンマに捕獲されるハエのリアルさ!
まあ、なんだかんだ”冒険”したまーやがついに、クライマックスで宿敵くまばちに捕まります。
ここで気になるのが、敵のくまばちですが本来はくまばちはこういう行動をとらないのですが、(どちらかというと、スズメバチ)まあ、物語上いいでしょう。
それよりも気になるのが、くまばちの被るヘルメットです。
なんか見た事あるなあと思ったら、
武部本一郎画伯描くところの「火星シリーズ」の挿絵のヘルメットにそっくりです。
もしも、この絵本が武部画伯の筆によるものであれば、
1965年「火星のプリンセス」E.R.バローズ
1970年「ひつじかいのほし」
1971年「みつばちまーやのぼうけん」ボンゼルス
と繋がっていくのであります。
私は時系列を重要視しております。
画家の方の作品を見ていくのに、代表作のみをとりあげる事があまり好きではありません。
どんな、画家であろうと作家であろうとデビュー作は荒削りであっても、何かパッションが飛び散っていたりします。
脂が乗っている時は筆が走っていたり、じゃあ晩年はどうだったのだろうか。そんな事を考えながら見たり読んだりが好きなのです。
さらに、その時その時、必ず何かに影響しあったりするはずなので、それを紐付ける作業も好きです。
一人の作家の成長なのか、破滅なのか、それをみる事で何か感情を揺さぶられたいのです。